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広島地方裁判所 昭和56年(わ)133号 判決 1981年8月27日

本店の所在地

広島県福山市沖野上町九四番地の三

法人の名称

播州建設株式会社

代表者の住所、氏名

兵庫県芦屋市山手町三一番四〇号

奥村清一

本籍

兵庫県飾磨郡家島町真浦七四九番地

住居

同県芦屋市山手町三一番四〇号

会社役員

奥村清一

昭和四年九月二六日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官佐々木信幸出席のうえ審理をして、次のとおり判決する。

主文

被告人播州建設株式会社を罰金一、五〇〇万円に処する。

被告人奥村清一を懲役一年に処する。

被告人奥村清一に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人播州建設株式会社は、広島県福山市沖野上町九四番地の三に本店を置き、海砂利等の採取販売等を業とするものであり、被告人奥村清一は同会社の代表取締役として、その業務全般を統轄しているものであるが、被告人奥村清一において、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て

第一  昭和五二年三月一日から同五三年二月二八日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二、一七五万五、三二四円であって、これに対する法人税額が六四七万三、九〇〇円であるにもかかわらず、傭船料・修繕費等の架空経費の計上などの不正行為によって所得の一部を秘匿したうえ、昭和五三年五月一日、神戸市兵庫区水木通二丁目一番四号兵庫税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が五九八万六、五八七円であって、これに対する法人税額が二八万八、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の法人税六一八万五、九〇〇円を免れ、

第二  昭和五三年三月一日から同五四年二月二八日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億四、八九三万八、二一八円であって、これに対する法人税額が五、七二四万六、七〇〇円であるにもかかわらず、売上の除外及び傭船料・外注費等の架空経費の計上などの不正行為によって所得の一部を秘匿したうえ、昭和五四年四月二〇日、前記兵庫税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が七二三万二、三三五円であって、これに対する法人税額が五六万四、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の法人税五、六六八万二、四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実

一、被告人奥村清一の当公判廷における供述

一、被告人奥村清一の検察官に対する供述調書

判示冒頭の事実

一、商業登記簿謄本一通

判示第一、第二の各事実

一、被告人奥村清一の大蔵事務官に対する昭和五五年一月二六日付、昭和五五年一月三〇日付、同年二月一三日付、同年三月一九日付、同年四月一〇日付、同年六月五日付各質問てん末書

一、大蔵事務官(畑本義雄)作成の昭和五五年六月二日付、同月二一日付(検84号)各調査事績報告書

一、大蔵事務官(濃野崇)作成の昭和五五年六月二一日付(検39号)、同月二日付各調査事績報告書

一、大蔵事務官下間佐二夫作成の昭和五五年五月二八日付調査事績報告書

一、被告人奥村清一作成の上申書(検113号)

一、柴田福代(昭和五五年二月二三日付)、竹中和弘(二通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、押収してある法人税決議書綴一冊(昭和五六年押第八九号の1)

判示第一の事実

一、大蔵事務官(下間佐二夫)作成の昭和五五年六月二一日付調査事績報告書(検86号)

一、本多恒多(昭和五五年三月七日付)、林暁の大蔵事務官に対する各質問てん末書

判示第二の事実

一、被告人奥村清一の大蔵事務官に対する昭和五五年二月一四日付、同月二二日付、同年三月一八日付、同年四月一一日付、同年六月四日付、同月一七日付各質問てん末書

一、大蔵事務官(濃野崇)作成の昭和五五年六月二一日付調査事績報告書(検47号)

一、大蔵事務官(畑本義雄)作成の昭和五五年六月二一日付(二通、検48、83号)各調査事績報告書

一、大蔵事務官亀井明作成の調査事績報告書

一、大蔵事務官下間佐二夫作成の昭和五五年四月一〇日付調査事績報告書

一、柴田福代の検察官に対する供述調書および大蔵事務官に対する昭和五五年六月六日付質問てん末書

一、本多恒太の検察官に対する供述調書および大蔵事務官に対する昭和五五年六月六日付質問てん末書

一、篠田耕作、藤堂敦義、石田博(二通)、米田陽次、泉川容男、浜田定雄(昭和五五年五月九日付、同月一〇日付)、細山徳二の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、藤堂敦義、石田博の検察官に対する各供述調書

一、近畿砂利株式会社取締役社長篠田耕作作成の証明書

一、山口銀行広島駅前支店次長(吹上宰佐)作成の証明書

一、被告人奥村清一作成の上申書(検49の1号)

(法令の適用)

被告人奥村清一の判示第一、第二の各所為は各昭和五六年法律第五四号附則五条により改正前の法人税法一五九条一項に該当するので、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により犯情の強いと認める判示第二の罪の刑に法定の加重をし、その刑期の範囲内で同被告人を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予し、被告人播州建設株式会社について、判示第一、第二の各所為は各前記改正前の法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項に該当するところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で同被告会社を罰金一、五〇〇万円に処すこととする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 三島昱夫)

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